留学生の未来に光が…!

嬉しいニュースです! 7月6日(月)に移民・関税執行局(Immigration and Customs Enforcement: ICE)が発表した、留学生を追放するクレイジーな政策が取り下げられることになりました!
前回のブログでも紹介しましたが、「新学期の授業が全てオンラインで実施される学校の留学生は、アメリカに残ってはいけない」ということが先週、突然アナウンスされましたが、その政策が白紙に戻りました。

HBSはオンライン授業と対面授業を組み合わせる「ハイブリッド型」を採用する予定だったので、この政策の影響を受けないはずではありましたが、全てオンラインで授業を行う予定だった学校に通う留学生は今回のニュースで一安心したのではないかと思います。


7月6日(月)に発表された政策は本当に信じられないほど酷いものでしたが、実はそのわずか2日後の7月8日(水)にはハーバード大学とマサチューセッツ工科大学 (MIT)が手を組んで、米国政府に対して訴訟を起こしていたのです…!!


ハーバードとMITに続き、スタンフォード大学、プリンストン大学、イェール大学などもこの訴訟への支持を表明し、最終的には200以上の学校が連なって移民局の政策に対して真っ向からチャレンジしていました


その甲斐もあって遂に本日午後、この政策が取り下げられました!

ハーバードとMITが訴訟を起こしたときは、正直あまり期待はしていなかったのですが、良い結果に繋がって本当に安心です。

訴訟の文面はハーバードのウェブサイトに公開されているのですが(興味がある方はこちら)、その補足資料(リンクはこちら)には「この政策が如何に甚大な悪影響を及ぼすか」について生徒の具体例(匿名)を交えながら説明しています。

前回のブログでも想定される悪影響に関して書きましたが、この補足資料に書かれている具体例を読んでみると、全く想像しなかったようなストーリーも見えてきました。

  • 0歳児と離れ離れに:オーストラリア出身のハーバードの大学院生は、今年の3月に米国で出産したため、その子供はアメリカ国籍を持つ。しかし、コロナの影響で行政の手続きが滞っているため、未だにその子のアメリカのパスポートが発行されていない状態。もし、今回の移民局の政策が施行されると、自分はオーストラリアに帰らなければならないが、子供はパスポートが無いためアメリカ国外に出られず離れ離れになってしまう。

  • インターネットの遮断:インドでは2019年8月、イスラム教徒が大半を占めるカシミール地方の自治を取り消し、その後インターネットアクセスを遮断した。そのため、インドのカシミール地方出身のハーバード・ロー・スクールの学生は、故郷に帰るとインターネットが使えずオンラインで勉強が続けられなくなる。
    同様にエチオピア出身のハーバード・メディカル・スクールに通う生徒も、エチオピア政府による治安維持の名の下の全国的なインターネットの遮断により、母国で授業を受け続けることは不可能になる。

  • 財政危機と食糧難:レバノン出身のMITの大学院生は、母国が直面している深刻な財政危機と食糧難により、帰国をした場合は通常の生活さえままならなくなるため、オンラインで授業を受け続けることも困難になる。

  • 引っ越しに伴う金銭的損失:ブラジル出身のMITの大学院生は、ボストンでアパートを長期契約したため、母国に帰らなければならない場合はその契約が無駄になり、多額の金銭的な損失が発生する。

  • 同性愛者に及ぶ危険:ハンガリーではLGBTQの権利が十分に守られておらず、警察もヘイトクライムを見過ごすこともある。そのため、ハンガリー出身の同性愛者のMIT生は、母国に帰ると身に危険が及ぶだけでなく、同性愛者であることを隠さなければいけないため自分のアイデンティティも失われると憂う。

  • 治安の悪さ:南アフリカ出身のMITの大学院生は、コロナが蔓延した3月に母国に帰ったが、地元故郷は治安が悪く、つい最近は武装した男7人が自宅に強盗に入った。それ以来、精神的にも不安定になり一刻も早く米国に戻ることを望んでいる。

このような境遇の生徒がいることは僕も想像が及ばなかったですが、ここまで重大なインパクトが起こり得る政策を何の躊躇もなく導入しようとしていたとは恐ろしいです…。

しかも、それが学校の為、留学生の為を考えて発表した政策ではなく、「学校を通常運営に強制的に戻すことで、あたかもコロナが落ち着いてきたという錯覚をもたらし、経済活動の再開、引いては国民から支持率を得る」という全くもって自分本位な考えで、アメリカにいる約100万人の留学生と学校関係者を振り回したトランプ政権。。 言葉を失います…。

ハーバードとMITのリーダーシップには感謝しつつ、何をしでかすか全く予想がつかない今の政権下では、「これで一件落着」とは言い切れないのかもしれません。

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